Leatheryoyoシリーズ

革とヨーヨーと私

革☓ヨーヨーというと真っ先に思い浮かぶのがヨーヨーホルダーの存在だと思います。西部のガンマンがガンホルダーを愛用した如く、アメリカで発展した近代ヨーヨーもフルカバータイプやシンプルにヨーヨーの溝にかけるベルトタイプなど様々な形状が販売されてきました。金具にこだわったターミネーターヨーヨーホルダーなんて言うものもありました。APのヨーヨー忍者のときも特性の革ホルダーを身に着けていたり、スケバン刑事4(あややVer)もアクションを邪魔しないホルダーを考案して体につけています。

ヨーヨーコレクションの整理は全く進まず、新しい社屋に家から少しずつ運び込む毎日が続いていますがそれでも日々新しいヨーヨーは増えていっています。今回は面白いヨーヨーを手に入れたのでその熱が冷めないうちに!というわけで更新しました。

Leatheryoyo shhopFE公式インスタグラムアカウント

公式販売サイト


ヨーヨーの歴史の中で、回転体であるヨーヨーそのものに革を使う、という試みはありそうであまりなく、本業が革職人でシルクスクリーンとプラバンでUTYJやタイガーシャークの限定版などのキャップを作ってくださった江戸さんによる焼き印でロゴを入れた革製キャップ(富士ヨーヨーフェスティバルVerとチームエディーズキャップなど)やSkonさんが世界大会エントリー用に作成した1点もののリボルバー(金属製のヨーヨーに革を貼り付ける、その後数点制作)など革をヨーヨーに使用したものは”Mod”レベルでは存在していたけれども”商品”として革が本体素材のヨーヨーというのはおそらく初めて。

インパクトのある目のついたカウンターウエイトなど、SNSで話題になっていて前から気になっていたのだけど購入のきっかけが無く、やや遅れた形になったものの、ようやく購入をしたのでファーストインフレッションをレビューできればと思います。

右奥からダイス、W、Whiffle

ただ革製品、というのは経年で馴染んで初めて良さが出る部分のあるもので、また紐で摩擦を発生させるヨーヨーとの相性というのは使ってすぐではわからない部分も多いので半年後、数年後どうなっているかも楽しみに育てていくタイプのヨーヨーになると思います。同じコンセプトで真鍮無垢で育てるヨーヨーというのを作ってみたく、多分道具として、そういうカテゴリーに楽しみを持っている人は共感の得やすいヨーヨーになっている気がします。また公式にもそのような発言になっていますが経年で劣化する部分も出てくるので旬がいつまでも継続するタイプのヨーヨーでもなさそうです。

フォルムの違い(厚さ比較)

今回購入したのは幅の広いwと基本のSをベースにリムにウエイトを追加したWhiffleのプロト。個人制作系のヨーヨーブランドだと製品とプロトタイプの境目が曖昧なときも多いですが、それでもプロトタイプという言葉の響きには弱く。またWと合わせて購入するなら違いもはっきりして、Sよりも見た目にもヨーヨー感のあるものを選択してみました。

メーカー公式情報

公式サイトより引用。今回購入の参

whiffle 3520円  直径: 57㎜  横幅:    27㎜ 重量:  44g

Wのキャメルを購入しました(写真は公式サイトより引用)


W 4345円 直径:58mm 横幅:35mm ウエイト:58g

バームクーヘンのような見た目で革を積層にして固めてそこから削る/均す?ような工程で仕上げられているように感じます。革と革の間には隙間の模様はありますがストリングが引っかかったり剥がれそうな気配はありません。

基本、ヨーヨーとしての性能云々をこのブランドに対して言うのは多分、見当違いで、木のヨーヨーブランドとして固定軸としてのパフォーマンスも追求しているTMBR(timber)とも楽しみ方の方向性は少し違うのかなぁと。遊び方も見た目もとても似ているのだけども。TMBRは沼なのでうかつに手を出さないほうが良いです。FEにも同じ匂いを感じますが、、、

もちろん使いやすさの追求はヨーヨーブランドを名乗る上で大切なのだけどもそれ以上に革というヨーヨーには今まで無い素材を使ってどこまで楽しめるかという追求をしていくほうが正しいと思っています。そもそもスリープ時間とか使いやすさを言い出したら既存素材のヨーヨーを使っていればいいわけで全革ヨーヨーと比べるのはナンセンス。

革Yoにしかできない動きや味を楽しむのが一番良さそう。

天然素材を使ったヨーヨーでは木製はもちろんたくさんありますが、過去にはヨーヨージャムが大幅なリソースを割いて開発をしたものの最終的には継続した製品化を断念した竹素材のジャンブーというヨーヨーもありました。プラスティックや金属などの比較的安定した素材に比べると天然素材は比重が場所によって異なったり、加工の際の難易度、そもそも旋盤加工や金型というヨーヨー定番のものの作り方に適さない、などたくさんのハードルがあります。

コルク感すごくありますが触ったら革です。事前にあまり調べずに購入していたことと、サイトの写真だけだとあまり伝わっていなかったのですが、異素材系でも軸はきちんと硬いものを使いがちなこの世界で、どういう技術とコンセプトかはわからないのですが軸も革。です。これはすごい。こだわりの技術がここに詰まっている気がします。本来剛性が求められるはずの軸周りだけど弾力があります。

生きていた感じ。

ねじ切りされているわけではないのだけど片方向にだけ開けられる癖がつけられているようで反対側に開けようとしてもうまくいきません。軸回りも最終的に回数を重ねるとゆるゆるになってしまったら接着推奨のようですが工夫と手入れが必要なヨーヨーは愛着を感じるのでネガティブなポイントではありません。ストリング解きも付属していますし。

ヨメガのシリーズで軸と本体の間にシリコンが入っていてぐにゃぐにゃのボディーのYoModというヨーヨーがありましたが少しそれを彷彿とさせます。

ガチスリープをすると木製のヨーヨーの場合は焼き付いてレール溝ができてしまい、スリープできなくなる原因になるのですが革アクセルはどのような挙動をしていくのか、まだロングスリープ連発して、焼き目つけて軸を焦がす度胸はまだ無いので少しずつ使い込んでいければと思っています。木のヨーヨーだとロウをつけてなじませて軸を育てていきますが革の場合はついてきている革のワックスのようなトコノールを使って表面と軸と両方育てていけばいいんでしょうか。メーカー情報ではロウを染み込ませてはあるようです。

ここで一つ思いついたのがウールなどの動物由来の素材で紐を作れば100%動物由来素材でできた”業の深い”ヨーヨーができそうです。fuzzy essenceさんでは革製ダイスというのも作られていますがここはあえてもりりんさんが作っていたクマの牙を使ったダイスでワイルド(?)に動物的な5Aも。

木製ヨーヨー+コットン100%は100%植物由来だけど動物由来素材はまた違った感じがします。

生き物の体からできたヨーヨーって茶化すつもりではないですが想像力を掻き立てられます。革、という素材に対する捉え方の違いもありますが、宗教によっては食べるという意味の摂取だけではなく、革製品に触れることを禁じられている人達もいます。

生命があって、命の育みの中から生まれてきたものを素材としてヨーヨーにする、というのは趣が深いです。プラスティックなどの石油製品ももともとは生物の死骸が堆積したものだとか、そもそも地球にある工業製品がすべて地球という生命体から出てきた物体で構成されているのだからとか、ヨーヨーとは全く関係ないガイア理論もどきにまで話が飛躍したり。

レジ袋廃止のもとになったプラスティックフリーという概念とファッションブランドなどに浸透している動物素材を使わないというアニマルフリーという概念があるようで動物もプラスティックもだめ、となるとフルメタルだけが残されるという、、、(よくわかっていなくて理解力、意識低めのイメージだけでヨーヨーが世の中の中心の視点で語っています。真面目に突っ込まないでね)。鉱物フリーという概念はまだなさそうです。

ヨーヨーのレビューをしているはずなのに話がそれるのは筆者の悪い癖ですが、ヨーヨーをネタに様々な話ができるのもヨーヨーの楽しみ方という捉え方をすれば革製のこのヨーヨーたちは競技でビシッと楽しむだけではないヨーヨーをガイアの視点から(?)楽しむためのいいツールになっています。コレクションをしていく上でも一定のレベルを超えた”製品”としての完成度、素材としての珍しさ、ブランドとしてのこれからを応援していきたい楽しみのある応援買いと、買うべき理由は揃っています。

ネタ素材で終わらせない最低限のヨーヨーとしての性能(Wならリジェネと併用でボヨンボヨンやスプリットジアトムなどはある程度こなせます)があって、コントロールエッジ?もあるのでWhiffleは独特の感触のループも楽しめます。

Wとwhiffleどちらがオススメ?

前置きしてあるとおり、ヨーヨーの性能レビューをすることは野暮ですが、振り比べたら違いはあるのでそこはレビューします。

Wはしっかり重くてヨーヨーとしての性能を追求していることを感じます。反面、お手軽に遊ぶのであればwhiffleがループもリジェネ系のストリングトリックもサクサクできて楽しい感じ。スリープは続かないけど固定軸の典型的な遊びをするトラピーズ系を決めていくのであればW、お手軽に遊ぶのであればwhiffle(もしくはS)なのかなと思いました。

構造という意味では、これから出たら面白そうな機種として、Wの形状で中空な肉抜きをしてあるヨーヨーはちょっと興味あるけど強度的に難しいかな。

あとは使い込んで革とどうやって付き合っていくか、というところを楽しんでいければと思います。いつもの流れで、うっかりベアリング化してしまいそうなところではありますがそうするとこのヨーヨーの本来の楽しみではなくなってしまう(寿命があるからこそ人生に価値のあるとする天然の人間と長く生きるために体の一部(もしくは全部)を機械化していくサイボーグの是非を論じる展開が生じる(銀河鉄道999のテーマの一つ)。ヨーヨー1つで最終的には銀河レベルまで話が飛躍する)のでこのまま手を加えずに育てて楽しんでいければ。メーカーがベアリング入りを出すという選択肢があればそれはそれで黙ってついていきます。

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